データベース構築に向けた研究結果
自動車の安全性向上,ならびに新たな制御システム設計に必要となる実路における摩擦特性計測を目的とする.
このためには,摩擦特性計測手法および計測装置の開発が必要となる.

制動に関わる摩擦特性はタイヤのスリップ比に応じて変化する摩擦係数を把握することになる.この特性において特徴点は下記となる.
- 最大摩擦係数
- 最大摩擦係数を発生させるスリップ比
- 制動係数(摩擦係数の立ち上がり傾き)
- ロック時の摩擦係数
これらの特徴点を走行方向に対し,連続的に計測する手法を構築する.
そこで,ギア比を変化させて3水準の摩擦係数を計測し,この結果より上記値を推定する.
この推定にはデルフト工大Pacejk教授が提案した下記簡易的なマジックフォーミュラー(下記超越関数)を用いる.
この式中の係数a,b,cを実験結果から同定することで,前述の4つの値を推定する.
種々の状況の異なる実験データを用いて,この係数同定を行う必要があり,そのため路面,タイヤ,荷重等を変化させた結果を下記に示す.この結果を用いて同定を行う.

特性の異なる3種類の結果より求めたMFとの比較結果が下図となる.

この結果より,特性の異なる結果を同定出来ていることがわかる.そこで,解析に用いた実験結果を同定して得た4つの特性を図に示す.

結果としては,非常に良い相関があることがわかり,実路の特性を推定できる可能性がある.
そこで,下図に示す計測装置イメージ図の構築を行い,今後道路位置情報に対する路面摩擦データベースを構築する.
